お部屋の音がびっくりするくらいクリアになるソファー
引っ越し予定の部屋で家具の配置を相談していた時、不思議な違和感があった。話し声が反響してこだまのように響くのだ。3人、4人と人数が増えると、響き方が激しくて会話に集中できないほどだった。あわてて家主を呼ぶと、「家具を入れたら治まるでしょう」とあっけない返事。もし治まらなかったら、ずっと居心地の悪さや不快感に悩まされることになると、少しの不安を持ちながら引っ越しを済ませた。結果、家主が言うとおり、家具を入れたらこだまのような残響音は無くなり、ほっとしたのだった。日常生活の中で、音によって快・不快を感じることは本当に多いと実感した出来事だった。
引っ越しの直後、たまたま「音がキレイになるソファーが完成した」と案内をもらった。兵庫県丹波市で、防音室や断熱材との複合板を作っている谷水加工板工業の開発責任者である谷水ゆかりさんからである。
一見すると普通のソファーながら、建築材料の吸音材を応用して、一般的な吸音パネル29枚分の効果があるというものだ。置くだけでその部屋のあらゆる音がクリアになる。オーディオルームはもちろん、人の声もすっきり聴き取れることから、企業の応接室や一般家庭への利用も見込まれる。
ソファー内部に立体的に配置した吸音材が、不快な低音(ブーミング)を減らすため、部屋に流れる音がクリアになる。存在を主張しすぎないシンプルなデザイン、シックで肌触りがよい布地、ほどよいクッションで座り心地もいい。「一般的なソファーと変わらない価格にしました」と、谷水さん言うように、198,000円(税別)からという価格に抑えられている。自社で開発し、製造のノウハウもあることから実現した価格であろう。
同社の創業は1961年。高度経済成長期には大手ハウスメーカーの外壁を作り、大きく成長した。そののち、大手企業の内製化に伴って注文は激減する。最盛期には売上げの75%を占めていた取引先である。そのダメージは計り知れない。
助けになったのは、25%の自社製品だった。型枠断熱パネル、外断熱、防音室など、独自に開発を進め販売を続けてきた。
「開発は常に一番のテーマでした。極端に言えば3年かけて開発した商品の寿命は5年くらいです」と谷水さん。変化が早く激しい時代だからこそ、常に先を読み、ニーズを探り、オリジナルの製品を低価格で作れなくては生き残れない。
設計室と工場を敷地内に持つ企業ならではの小回りがきく開発力で、他社に先駆けたニッチなマーケットに勝負に出る。
丹波の美しい自然に囲まれて、50年以上地元の雇用を産み、ものづくりを続けてきた企業が、長年培ったノウハウとチームワークでインテリアという新たなフィールドに挑戦し、2012年3月には経営革新計画承認を受け、つい先日兵庫県成長期待企業の認定を受けた。谷水さんは、「丹波のように、静かに暮らす幸せと音が選べる贅沢を届けたい」と言う。
「サウンド クリア ソファー」は、心地よい音と座り心地で、人々の暮らしを豊かにしてくれるであろう。
谷水加工板工業株式会社
兵庫県丹波市氷上町賀茂1457番地1
0795-82-2117
http://tanimizu-kakou.co.jp/sofa/