【界 日光】男体山と中禅寺湖、四季折々の美しさと温泉に癒やされる宿(前編)

今回の旅の宿は、栃木県日光市にある星野リゾートの温泉旅館「界 日光」を選びました。世界遺産に登録された「日光の社寺」(日光東照宮、日光山輪王寺、日光二荒山神社)を参拝して心静かに過ごしたり美しい景色を見たりするのはもちろんですが、滞在する宿を楽しむのも旅の大きな目的。JR・東武「日光」駅から車で約30分、男体山のふもとにある「界 日光」での休日を紹介しましょう。

 中禅寺湖畔の高台に建つ「界 日光」

「界 日光」は、3000坪の敷地に建つ美しい館に客室は33室という贅沢なつくりで、上質な時間が流れる宿です。

エントランスの坪庭には枯山水、玄関の戸の装飾には美しい螺鈿が用いられており、期待感が高まります。自動で戸が開くと、奥に続く廊下が現れてフロントへ向かいます。

チェックインを済ませたら、トラベルライブラリーで一服。眼前に広がる中禅寺湖の大パノラマが四季折々の美しい景色を見せてくれます。ライブラリーの随所に日光彫、益子焼、鹿沼組子といった栃木県の伝統工芸があしらわれており、見ているだけで優雅な気分に。

壁や窓、パーテーションでひときわ目をひくのが鹿沼組子です。釘や金具を使わずに細かい木のパーツを組み合わせた組子は、その昔、日光東照宮を造るために全国から集まった木工職人の技術が伝えられ、障子や欄間、襖などの建具に用いられてきました。その模様は多彩で、随所に職人技が光ります。

チェックインを済ませて部屋へ向かう広い廊下は畳敷き。高級旅館ならではの贅沢なつくりですね。

レトロな形のルームキーには鹿沼組子と益子焼のキーホルダーがついていました。

伝統工芸品と美しい景色に囲まれる「ご当地部屋」

今回の宿泊は、鹿沼組子を取り入れた「ご当地部屋」です。ちなみに、鹿沼というのは日光から約28km南にある鹿沼市で、木工のまちとして知られています。江戸時代には日光へ向かうための宿場町として栄えたそうです。

和室の中央にベッド。ベッドのうしろのパーテーションには鹿沼組子が配されて、透かし模様が明かりを通すため、圧迫感がありません。

ソファが置かれたリラックススペースとの境にある戸は、全面に鹿沼組子が配されて、窓からの光がきれいな影を室内に写し出しています。

よく見ると、光の加減によって曲線が浮き上がって見えます。これは名所「いろは坂」を表した隠れアイテム。

部屋からは中禅寺湖が目の前、右手に男体山が見えます。遊覧船や釣り船が浮かび、陽射しを反射してきらきら光る風景はとってもきれい。中禅寺湖の標高は1300mで、日本一標高の高い湖です。湖を渡る風のおかげで夏でも涼しいことから明治時代に避暑地として外国人が訪れていたそうです。

温泉の楽しみは露天風呂とお湯印帳のスタンプ

大浴場の湯上がり処では、「界の湯守り」スタッフによる「温泉いろは」が毎日開催されており、宿泊客は誰でも自由に参加できます。

軽いストレッチをしたり、温泉の効能や楽しみ方のレクチャーを受けたり、知識が増えたら、界の「お湯印帳」にスタンプをもらいましょう。大浴場は男女それぞれに内湯(桧風呂)と外湯(岩風呂)があり、広い空間でゆったりと湯に浸かることができます。

ぜひとも入りたい貸し切り露天風呂はチェックイン時に予約をしておきましょう。洗い場、更衣室、休憩スペースともに完全プライベートで、のびのびとすごせます。泉質はアルカリ性単純温泉で筋肉痛や疲労回復によいとされています。かけ湯を10~20回して最初はゆっくり浸かるのがいいそう。

湯温は熱すぎずとっても快適。目線の先には草木が見え、そよそよと吹く風が心地よくて、手足を伸ばせば究極のリラックスタイムです。湯上り後の保湿は、備え付けの和漢コスメで。水分補給は、ミネラルウォーターと梨ウォーター、アイスキャンディーをセルフでいただけます。

特産品のショッピングを楽しむ

「界」のショップは、それぞれの土地ゆかりのものばかりで、毎回楽しみですが、ここ「界日光」も地元の特産品が充実しています。地元のメーカーとコラボした「界」オリジナルのお菓子や加工品、益子焼の器など、上質なものばかり。

ひときわ目を引いたのは日光下駄です。足にあたる部分が草履、下が下駄という手のこんだ手作りで、一点一点オーダーメイド。好みのものを注文したら、完成を待つのも、わくわく心躍る時間ですね。

日光下駄を作る職人さんは、日光市内に住む伝統工芸士の山本政史さんです。今、この下駄を作れるのは、山本さんとそのお弟子さんだけ。すべて国産の材料を使って、作り上げます。

エントランスにある日光下駄は、自由に履いて散策に出かけてもいいので、ぜひお試しを。下駄を履いたことがなくても思いのほか履き心地が良くて、多少の坂道でも歩きやすいのです。

木工職人が多い日光では、お箸も職人さん手作りのものがあります。毎日使うお箸だからこそ、自分の手の大きさに合ったもの、手ざわり、舌ざわり、それに見た目も大事ですね。食事処で使った際に、あまりにも使い心地がよくて、自宅用に購入いたしました。

後編を読む

※体験プログラムの内容、日程、価格等は公式サイトでご確認ください。

界 日光
住所:栃木県日光市中宮祠2482-1
時間:チェックイン 15:00、チェックアウト 12:00
予約電話番号:050-3134-8092(界予約センター)
界 日光

Text:松田きこ

 

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